その他のテクニック

 出た目によってコマを動かすのだが、相手をヒットできたり、新たなブロックを作れたり、安全にビルダーを作り出せたり、と簡単な場合はまれである。時にはどのようにムーブしてもうまくいかないように見えることがある。そのような場合でも自分にもっとも有利で相手に不利なムーブを追求する姿勢が必要になる。以下はそのためのテクニックである。

 1、テンポムーブ
 2、スプリット
 3、スロット
 4、デュプリケーション
 5、ディバーシフィケーション

1、テンポムーブ

テンポムーブ
 図の局面で白がヒットされたところ、白に2−4が出た。普通に Bar→C、M→Qなどと動かしていると、黒にバーポイントインナーのEポイントを作られそうである。セミプライムが黒にできると白のバックマンの動きは極度に窮屈になるばかりでなく、黒からダブルをかけられれば降りるしかない。
 ここは Bar→C、U→Yとヒットするのが良い。このヒットの目的は黒のダイスの目の片方を奪うことにある。Barから復帰する際に片方のダイスの目を使うことにより、黒は有効なムーブができなくなる。もちろん白のYのブロットリターンヒットされる可能性はあるが、その場合はヒットされたコマを復帰する際に黒のインナーのどこかにアンカーを作れるかもしれない。そうなればクローズアウトされる心配はなくなり、反撃の余地を残せる。
 このように次の回に相手がかなりの確率で有効な手を期待できる局面において、自分のインナーにいる相手のブロットをヒットすることをテンポムーブと呼ぶ。これは同時に相手にダブルをかけることを躊躇させる効果もある。
 なお、黒のインナーにブロックポイントが多く、また白にビルダーが少ないこの局面ではアタッキングゲームを指向するべきではない。したがってYのブロットをカバーする必要はない。


2、スプリット

スプリット1
 バックマンの片方を相手のインナーで前進させることをスプリットと呼び、多くはオープニングロールでのムーブとなる。図のようにB→CまたはB→Dとするのをマイナースプリット、B→EまたはB→Fとするのをメジャースプリットと呼ぶ。
 マイナースプリットは相手がアウターインナーにコマをスロットしてくるのを2ヶ所からねらえる。また相手のインナーのハイポイント(FやE)にブロックを作る可能性が増す。などの効果がある。
 メジャースプリットはそのコマがヒットされなければ次にそこをブロックできる可能性があり、そうなれば今後の戦いに極めて有利となる。


スプリット2
 相手のコマをヒットしつつスプリットするのは、相手の片方の目を奪うため、スプリットしたコマを相手からヒットされにくいという利点がある。図のようにすればヒットせずFにスプリットする場合と比較して白の有利さには格段の差がある。このようなヒット&スプリットにより相手のゴールデンポイントを確保することは極めて有効な作戦である。

 スプリットにはこの他に、相手がプライムを作りそうになった場合にその未完成のプライムの直前に移動し、次の脱出またはそのポイントのブロックをはかるものがある。


3、スロット

スロット1
 自分の作りたいポイントにコマを1つ移動させることをスロットと呼ぶ。相手のコマが前方に無い場合のスロットは簡単であるから、ヒットされる危険性のあるスロットについて述べる。

 自分のゴールデンポイント(U)にスロットすることは序盤の有効な戦術である。図の場合、スロットしたコマは15/36の確率でヒットされるがヒットされなければそのポイントのブロックが期待できる。またもしヒットされたとしても、まだ相手のインナーは空いているからアタッキングゲームを仕掛けることも可能である。


 ゲーム中盤ではスロットするかどうかの判断は重要である。以下の場合にはスロットすべきでない。
1、相手がバックマンをスプリットしている場合
 この場合、スロットしたコマは2ヶ所から狙われるのでヒットされる確率が高い。
スロット2 2、自分のバックマンをスプリットしているか、または1個のみの場合
 例えば右図で前図と同じくM→O、T→Uとスロットすると、UをヒットされなくともBまたはCのコマをヒットするテンポムーブをされる危険性がある。相手のインナーにブロットがある場合のスロットは原則としておこなうべきでない。逆に相手がバックマンをスプリットしていてスロットしてきたならば積極的にテンポムーブするべきである。
3、ピップカウントでリードしている場合
 バックマンの数が相手より少ないなど、相手に対して優勢であるならヒットされる危険を冒すべきではない。しかしピップカウントで負けているならば積極的にスロットして有利なポイントを確保する。
4、ビルダーが多い場合
 多くのビルダーがあるならヒットされる危険を冒してまでスロットすべきでない。ビルダーを利用してポイントを確保すべきである。
5、相手のインナーの多くのポイントがブロックされている場合
 相手のインナーにアンカーが無く、かつ相手のブロックが多い場合、スロットは危険な行為である。


4、デュプリケーション

デュプリケーション
 デュプリケーションとは相手にとって有効な目を重複させることである。多くの場合ブロットを生じざるを得ない時にヒットチャンスを少なくするために使われる。

 図で白は1−6を出した。ブロットができるのはしかたがない。ここでJ→P→Qと動かすと黒から2と4の目でヒットされる。ここはJ→P、J→Kとしてヒットするのに必要な目を3のみに限定するところ。こうすることによりヒットされる確率を28/36から17/36まで減少することができる。
 同様に相手の目を重複する場面はいくつもある。相手をヒットしている時、相手の生き返る目と重複させる 場合。相手がインナーをブロックしたい目と重複させる場合。相手がセミプライムから脱出する目と重複させる場合等、ブロットを作らざるを得ない時はデュプリケーションを考慮する必要がある。


5、ディバーシフィケーション

ディバーシフィケーション
 ディバーシフィケーションとは、あらかじめ自分にとって都合の良い目を多様化させておくことである。多くの場合相手のコマをヒットしてバーにある時に利用される。

 図で白は3−4を出した(黒のコマは1個バーにある)。黒のブロットをヒットできないがバックマンを安全に逃げることはできる。しかしここでは2個のブロットを2つともヒットしてギャモン勝ちをねらうところである。少なくともあと1個ヒットして2個をバーに追いやってベアリングオフに持ち込めば、まず負けは無い。ここはE→H、M→Qと動かして黒のブロットを多方向からねらうようにする。E→H→LまたはM→P→Tとベアリングインするとヒットするには5の目しか無い。

フレキシビリティ
 デイバーシフィケーションのように、自分にとって有効な目を増やすようにすることはバックギャモンのほとんどの場面で登場する。安全にベアリングインする場合を除いてコマはできるだけ1ヶ所に固まらないほうが良い。このようにコマの柔軟性(フレキシビリティ)を考えるのは重要である。

 右図のような局面で白がゴールデンポイントを確保すると(下左図)Tのコマ数の多さは解消されず、Vへのビルダーが2個しかない。これに対し、Vポイントをブロックした場合(下右図)はTのコマも減り、Uのゴールデンポイントへのビルダーは3個できる。ゴールデンポイントはたいせつなポイントだが次回以降にまたねらえるならばフレキシビリティを捨ててまで確保するほどではない。
フレキシビリティ フレキシビリティ

 上級者と初級者の差はこのように一見何気ないような場面で生じることが多い。

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