カジノの歴史と現況

1、カジノの歴史

 カジノ(casino)の語源はイタリア語で「小さな家」を意味するcasaで、もともとは王侯貴族が所有していた社交用、娯楽用の別荘を意味していた。これが時代の変遷とともに娯楽施設を備えた遊戯社交場の性格を強め、産業革命以降には一般大衆を対象とした集会場がヨーロッパ各地に誕生してカジノと呼ばれるようになった。
 初期のカジノは「特権階級のサロン」と「賭博好きの庶民や無頼漢のたまり場」という二種類に分類されるようである。ギャンブルと規制・弾圧は表裏一体のもので、各国はさまざまな規制を作り違反者を弾圧したが、フランス革命が起きると革命家たちはこれらの規制を取り払いギャンブルに対して驚くほど寛容な姿勢を見せる。しかし、やがて、カジノを公認して規制し、それから税金を取り立てることを思いついた。その後権力の座に着いたナポレオンは当初カジノ禁止令を出すが、税収の落ち込みからしだいに骨抜きの規制となり「温泉保養地は例外」などさまざまな除外例を認めるようになる。この規制法がフランスでは現在でも続いている。
 このカジノへの課税はギャンブルの歴史上大きな転換点となった。各国政府はその後しだいにギャンブルに対して寛容になり、その後の紆余曲折はあったが、カジノが広まるもととなった。しかしこれはギャンブルに対する見方の変化というよりも財政的事情によるものである。先頃、石原都知事が2期目の都知事選で公約すると報道されて話題となった「カジノ構想」も税収およびそれが実現した場合の経済波及効果が目的であろう。

2、世界各国のカジノ

 世界各地にはさまざまなカジノがある。以下は比較的規模の大きいカジノ施設を有するところを紹介した。
 この中ではアメリカ、フランス、イギリス、ドイツがベスト4となろう。歴史や伝統を踏まえた格式ではヨーロッパ、規模やパラエティの豊かさではアメリカとなる。
<北米大陸>
アメリカ合衆国
アメリカといえばネバダ州にあるラスベガスが有名であるが、ネバダ州ではこの他にもレイクタホ、リノなどがある。またニュージャージー州のアトランティックシティなど他の州にも巨大なカジノホテルを有するところが多い。また、近年はインディアン居留区でのカジノ認可が相次ぎその数は全米で急速に拡大している。
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ラスベガスのストリップ大通り
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ラスベガスのニューフォーコーナー

カナダ
カナダでも近年カジノが急増している。大規模なものではケベック州のモントリオール、アルバータ州のエドモントンなどがある。
<ヨーロッパ>
フランス
フランスでは百数十のカジノがあるが主として温泉保養地、観光地に存在する。大きなものではカンヌフェスティバルホールの中にあるCannes-Croisette、スイスに近いCasino de Divonne、ノルマンディー海岸にあるCasino de Deauville、ニースのCasino Ruhl、パリ近郊の湖畔にあるCasino D'Enghienなどがある。
イギリス
イギリスにあるカジノはすべてクラブ組織であり、現地で申し込みの手続きをしてから48時間を経過しないと入場できない。またロンドンのクラブは年会費を2ポンドから25ポンド必要だが地方のクラブは無料のところも多い。クラブではアルコールの提供やショウなども禁止され、純粋にギャンブルだけを楽しむ場所となっている。規則でディーラーへのチップも禁止されているところが面白い。
ロンドンで大きいカジノはVictoria Casino、Maxims Casino Clubなど、他の都市ではカーディフのLes Croupiers Casinoが最も大きい。
ドイツ
ドイツはカジノの歴史が最も古く、すでに13世紀に公営カジノがあったと言われている。現在では40ヶ所近くのカジノがあり、その多くは温泉保養地や観光地にある。規模の大きいものはバーデンバーデン、バート・アーヘン、ドルトムント、ベルリンなどにある。
その他
モナコのモンテカルロカジノは最も有名。この他、スペイン、ポルトガル、スイス、ベルギー、ルクセンブルグ、オランダ、デンマーク、スウェーデン、フィンランド、オーストリア、イタリア、ギリシャ、マルタ、トルコ、北キプロス、またロシア、ウクライナなど旧社会主義国のほとんどにもカジノは設営されており、規模に差はあってもヨーロッパでカジノを持たない国を探す方が難しい。
<アフリカ・インド洋>
ケニア
首都ナイロビと港湾都市モンパサに幾つかカジノがある。営業時間は遅く21時〜3時ということだ。
南アフリカ
10軒ほどのカジノが各地にあるが、最も規模の大きいのは「アフリカのラスベガス」とも言われるノースウエスト州サンシティのカジノである。
モーリシャス
東インド洋に浮かぶ常夏の島国には8つのカジノがある。最も大きいのはモーリシャス島のLa Pirogue Sun Hotel & Casino。
エジプト
カイロにはMarriott Hotel & Casino など8軒、その他アレクサンドリア、アスワン、ルクソールなどにカジノホテルがある。
その他
アフリカには上記の他にもチュニジア、モロッコ、ガーナ、ナイジェリア、ガボン、ザンビア、ジンバブエ、マダガスカルなど、多くの国にカジノがある。ヨーロッパと同じくカジノを持たない国は少ない。
<中米・カリブ海>
バハマ
カリブ海に浮かぶ多くの島国のほとんどがカジノを持つがバハマにはラスベガススタイルの大型カジノが4軒ある。
その他
ドミニカ、プエルトリコ、オランダ領アルバ、コスタリカ、ホンジュラス、パナマなどの国・地域に比較的カジノの数が多い。
<南米大陸>
アルゼンチン
南米最大のカジノ数を誇り、22の地域に20数軒のカジノがある。中でも海浜リゾートのマルデルプラタにあるCentral Casinoは最も大きい。
その他
コロンビア、エクアドル、ペルー、パラグァイ、ウルグァイ、チリなどに数軒から十数軒のカジノがある。
<アジア>
韓国
韓国にはソウル、仁川、雪岳、慶州、釜山、済州島に、全部で13の公認カジノがあるが、ソウルのシェラトン・ウォーカー・ヒルが最も有名である。
その他
中国に変換された旧ポルトガル領マカオは経済特別区として住民自治が保証されたことからカジノも安泰となり繁栄している。この他にフィリピン、マレーシア、ネパールなどが多くのカジノを保有している。
オーストラリア他
オーストラリア
首都キャンベラの他、各地に多くの一流カジノホテルがある。中でもアデレードのカジノは南半球で最もスタイリッシュなカジノとして有名。
その他
ニュージーランド、バヌアツ、ニューカレドニアなど太平洋の島々にもカジノがある。

3、カジノゲーム

世界各地にはさまざまなカジノゲームがある。それらをまとめて説明する。
<ルーレット系>
ルーレット(Roulette)
いわゆるルーレットである。
フレンチルーレット
ヨーロッパのカジノの伝統的ルーレット。クルーピエと呼ばれる係員が3人居てチップはレーキで処理する。回転盤はシングル0。
プール(Boule)
ルーレットより大きめの円盤に1から9までの数字が2つずつ合計18のポケットがあり、ボールはこの上をゆらゆらと転がりどこかの数字に落ちる。円盤は回転しない。1目賭けで当たると1対7の配当であるので控除率は11.11%。
バントトロア(Vingt Trois)、別名23
回転盤に27ヶ所の窪みがある。1〜4は各1ヶ所、5〜11は各2ヶ所、12〜14は各3ヶ所の窪みとなっている。すべての数字が平等ではない。ルーレットと同様、数字別から赤黒、偶数奇数、不足か過剰かといった賭け方がある。控除率は11.11%。ほとんどフランスだけのゲームである。
ツインルーレット(Twin Roulette)
0から16迄の数字が2ヶ所ずつあるルーレット。オランダ独特のゲーム。控除率は5.88%。

<バカラ系>

プント・バンコ(Punt Banco)
アメリカンタイプのいわゆる大バカラ。ヨーロッパ(特にイタリア)ではPunto Bancoと呼ばれる。プレイヤーは自席のPlayer,Banker,Tieのどれかに賭ける。カジノがすべての賭け金を引き受けるので勝負が早い。
シュマンドフェール(Cheman de Fer)
ヨーロッパスタイルのバカラ。ルールはほとんど大バカラと同じ。ゲーム参加のプレイヤーのオークションによりバンカーが決まるので、カジノはコミッションによる収入のみ。
ミニバカラ(Mini Baccarat)
大バカラのテーブルを小さくしてブラックジャックのようにディラー側とプレイヤー側に分け、7人程度の小人数用にしたもの。最多賭け金のプレイヤーがカードを優先的に見る儀式も省略されてゲームスピードが速くなると同時に最低賭け金もブラックジャック並に大衆化された。
バカラバンク(Baccarat en Banque)
ダブルテーブルのバカラと呼ばれる。バンカーが左右2つのプレイヤーハンドと勝ち負けを競うもので、参加プレイヤーはプレイヤーハンドにしか賭けられない。ブラックジャックの原型ともみられている。

<その他のカードゲーム>

ブラックジャック(Black Jack)
ブラックジャックテーブルは世界中のカジノで最も多い。したがって数々のローカルルールが存在する。
ポーカー(Poker)
ポーカーは19世紀から20世紀にかけてアメリカで発生し変化してきたゲームで多くのルールと変形ゲームがある。ポーカーのページを参考にしていただきたい。
トラン・エ・カラン(Trente et Quarante)
黒側と赤側にカードを並べていってそれぞれの合計数が31を越えたとき、どちらのカード合計数が31に近いかに賭けるゲーム。その他、黒側に出された最初の1枚目のカードの色が、勝負に勝った側の色と同じかどうかを当てる賭け方もある。古いゲームだがモナコにある。
レッドドッグ(Red Dog)
2枚のカードを並べ、3枚目の数字が2枚のカードの数字の間に来るかどうかに賭けるゲーム。初めに賭け金を置き、2枚のカードが開かれた後、賭け増しができる。

<ダイス系>

クラップス(Craps)
ダイス(さいころ)を使うゲームは人類の歴史と共にあるが、このクラップスは多数のプレイヤーが参加でき勝敗を共有できるので、アメリカ人好みのアクションとスリルがある。
大小(Sic bo)
3つのダイスの出目の合計やそれぞれの出目に賭けるもので中国系のプレイヤーに人気がある。
バンカフランセサ(Banca Francesa)
大小に似た3つのダイスの出目合計を当てるゲーム。ポルトガルのカジノにある。

<中国系>

パイゴウ(Pai Gow)
32枚の中国ドミノの牌を使うゲーム。ディーラーとプレイヤー、それぞれに4枚ずつ配られた牌を2枚ずつに分け、ハイハンドとローハンドを作る。この両者をディーラーのハンドと比較して両方勝っていれば配当を受ける。1勝1敗なら引き分け、両方負けていれば賭け金を取られる。これを簡略化してカードゲームにしたのがパイガオポーカーである。
ファンタン(Fan Tan)
マカオにある中国の古いゲーム。小さなボウルに入った碁石のようなボタンをテーブルにあけ、4個ずつ取り去っていき、最後の枚数が4から1のどれになるかを当てる。賭け方のバリエーションは多い。

<マスゲーム系>

キノ(Keno)
古代中国に発生したというゲーム。1から80までの番号のついたピンポン玉のようなボールがランダムに射出される。その番号を掲示して20個分を掲示すると1ゲームが終了する。ゲーム参加者は8行80数字の描かれたカードに期待する数字を任意の個数選び、あらかじめ登録しておく。当たった個数によってさまざまな配当がある。このゲームの控除率は約25%とカジノゲームの中では最も悪い。したがって勝負をするべきゲームではないが、安い賭け金でもありゲーム進行を見ている必要もないので他のゲームに疲れた場合の息抜きとして楽しむのが良い。
ツーアップ(Two-up)
オーストラリア独特のコイン投げゲーム。2つのコインを投げて表裏の出現に賭ける。投げるのは参加プレイヤーなので盛り上がる。
スポーツブック(Race Sports Book)
競馬場の場外馬券売場と同様の機能の他に、プロ野球、バスケットボール、フットボールなどのスポーツの結果に賭けることのできる場所。ラスベガスやアトランティックシティのカジノに多い、アメリカ的なギャンブル施設。場内には中継スクリーンが多数あり、券を買った後観戦することも自由。

<マシン系>

スロットマシン(Slot)
カジノの収益の大半はマシン系のゲームによると言われる。スロットマシンにはさまざまなバリエーションがあるが、このマシンの魅力は高額配当にある。プログレッシブマシンはそれぞれがコンピューターと接続していて、その中のどのマシンでプレイしても取られた金額の一部が即座に賞金に累積されていく。中でもメガバックスと呼ばれるものはしばしば$20,000,000を超える配当で話題になる。
ビデオポーカー他
スクリーンに表示された5枚のカードから任意のカードを引き直すドローポーカー。役ごとに決められた配当がある。このマシンにもさまざまなタイプがある。
また、マルチポーカーやモノポリーなど多くのバラエティゲームが存在し、進化し続けている。

<その他のゲーム>

ホィールオブフォーチューン(Wheel of Fortune)
ビッグシックスとも呼ばれカジノの華のゲーム。華やかに飾られた大きな車輪状の輪をディーラーが手で回す。上部に堅い馬皮のストッパーがあるので回転は徐々に遅くなって止まる。その時、馬皮のストッパーの先端にある針が示した数字が当たりとなる。配当は悪いが楽しいゲームである。

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